ご挨拶

総合科学研究機構(CROSS)は、前⾝の真空科学研究所から1998年に「産学協同」 を設立理念とし研究事業を行う公益法人に改組して、2011年には⼀般財団法⼈に移⾏しました。CROSSの現事業は、つくば、東海地域を拠点として、国内外の研究・教育機関、民間企業、地域社会などと連携協力し、総合科学及び量子ビームの利用促進に関する事業を行い、文化及び先端的科学技術の発展に寄与することを⽬的としております。

2023年度はCROSSにとって大きな転換の年となります。
1点目は、新たに茨城県の2本の中性子ビームライン(「生命物質構造解析装置(iBIX)」及び「材料構造解析装置(iMATERIA)」)の運転維持管理・利用者支援などの事業を茨城県から受託することになり、この4月に当該事業を担う中性子産業利用推進センターを発足させました。
2点目は、長い間、つくば地域を主たる事務所(土浦市)としておりましたが、東海地域の事業の拡大に対応するため、主たる事務所を東海地域(東海村)に移転いたしました。

東海地域では、特定先端⼤型研究施設の共⽤の促進に関する法律(共⽤促進法)に基づく登録施設利⽤促進機関として、2011年4月から、中性子科学センターがJ-PARC物質・⽣命科学実験施設(MLF)において、実験課題の選定や研究者の実験⽀援などの業務を実施してきており、そこでの研究成果は、質・量ともに順調に拡大してきております。
共用促進法の利用促進業務(利用者選定・利用支援)を担う中性子科学センターと茨城県の2本の中性子ビームラインの受託事業を担う中性子産業利用推進センターが、相互に協力することにより、より多くのユーザーの利用研究の推進、新規ユーザーの開拓を一体的に実施するなどの相乗効果が見込まれます。

一方、つくば地域では、総合科学研究センターが中⼼となり、研究者や技術者に対する「活動の場」の提供、「市民公開講座」の開催、出前授業の実施を行うとともに、一般向け科学情報誌「CROSS T&T」(T&Tは「つくば&東海」)を年3回出版して県内外の公共機関などに広く配布することなどを通して、地域の総合科学技術情報発信基地の役割を果たしております。

2022年度のMLFの利用者数は、コロナ禍前の2019年度に対して8割までに回復してきており、海外からの入国制限が緩和されたことにより来所する外国人研究者が前年度と比較して約5千人増加する状況になってきており、コロナ禍前の状態を取り戻しつつあります。また、コロナ禍の3年間で、MLFの検出器の大型化・高速化、試料環境の遠隔化・自動化等のDX化(デジタルトランスフォーメーション)が着実に進み、ユーザーにとって効率的な実験研究ができる環境に整備されつつあります。

新型コロナウィルスの影響や社会環境の著しい変化により、世の中は大きく変わってきております。
これからも、社会の変化を敏に捉え、激変する社会環境に適応するとともに、MLFの利⽤研究を通して画期的な成果を創出し、科学技術の進展に貢献できますように利⽤促進活動に邁進していく所存であります。

東海地域とつくば地域が密に連携を取って、職員⼀丸となって業務に取り組み、総合科学及び先端科学技術分野の発展並びに⽂化の向上に貢献して参りますので、更なるご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

2023年4月  理事長 横溝英明

 

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