2010年の実績を踏まえて (専務理事 西谷隆義)

2010年 01月 13日

一般財団法人 総合科学研究機構 専務理事

学校法人 筑波研究学園 理事長

西谷 隆義

「産学協同」の趣旨のもとに誕生

特例財団法人総合科学研究機構は、1998年6月、真空科学研究所を発展的に改組することにより誕生した。その前身の真空科学研究所が設立されたのは、1988年11月のことであったが、この当時としては珍しい「産学協同」によるものであった。すなわち、高エネルギー物理研究所(当時)の有志の呼びかけに真空科学に関係する民間企業が賛同協力する形で基本財産が作られ、茨城県教育委員会の認可により具体化している。

その後、わが国は、「バブル経済の崩壊」により、「つくば」を取り巻く経済環境は極端な落ち込みを見せ、これに伴い真空科学研究所の運営も厳しさを増すこととなった。そうした中の1997年10月、研究所運営の中核的存在であった石丸肇教授が突然逝去され、真空科学研究所の運営方針を抜本的に見直す必要に迫られた。

丁度この時期は、政府のもとで、「行政改革」「教育改革」などが進められ、筑波研究学園都市の建設事業も大きな節目を迎える状況下に置かれることとなった。この都市を歴史的な流れに立ってみると、「都市の概要」(昭和53年)「科学万博の開催」(1985年)と発展をとげ、35年を経て「建設事業の収束宣言」(1997年)がなされている。当研究機構が誕生したのは、1998年のことで、「つくばの熟成」に向けての新しい歴史が開始された時と一致しているのである。

「財団法人総合科学研究機構」に改組

そうした大きな筋目の時期に、真空科学研究所を抜本的に見直し、新たな組織を再構築する状況に置かれ、その方向性を如何にするか関係者間で検討がなされた。その結果、「総合科学」に運営の視点を置くこととし、現在の財団法人総合科学研究機構(CROSS)へと改組されたのである。

新しい法人の活動対象が「真空科学」から「総合科学」へと拡大されたのをうけ、その活動目標を次のように定めることとした。

  1. 「つくばリソース」(人材・知財・施設・システム等)の有効活用
  2. 組織から離れた技術者・研究者への「場」の提供
  3. 21世紀の「新しい街づくり」への提言
  4. 「新しいつくば文化」形成への貢献
  5. 産学協同事業への参画

さらに、CROSSが発足して2年後の2000年6月には、独立行政法人制度が発足した。このことは、長期的に見て、CROSSにとって大きな意味を持つこととなった。「つくば」に立地する国立研究機関の多くが、新しい組織へと改められ、それぞれの機関が「開かれた運営方式」を導入することとなったからである。

このような「つくば」の動きは、CROSSの活動にとっては極めて好ましい環境の到来を意味した。各機関との連携による事業展開の可能性が高まったのである。これにより、「CROSS研究プロジェクト」そして「CROSS研究員」という独自の制度がこれまで以上に有効に機能することとなった。

TISTとの連携のもとに

2005年に入り、「つくばエキスプレス(TX)」が開通し、「つくば」は都市としては大きな転換期に入った。また、独立行政法人化された各研究機関の運営も弾力化が進み、2006年頃からは外部から見てもその変化が見えるようになった。さらには、民間企業の立地も増え、「官制都市」の性格が大きく変わり始め、また、研究者や技術者OBの活躍も目立つようになった。

そうした時代に対応すべく、方策として、茨城県やつくば市では、「21世紀のつくば」作りを目指しての「グランドデザイン」の策定作業を進めている。そこでは、「都市環境」などのハード面に加え「高等教育」「国際交流「産業育成」などのソフト面での充実も重要な柱と位置づけられている。

この中の教育や国際交流などに面に関しては、CROSSと連携関係にある学校法人筑波研究学園(TIST)が専門とする分野であり、それに備えて、事前の調査研究を進めている。具体的には、CROSSでは、5年ほど前からTISTより「新しい大学システムに関する調査」を受託し、専門的検討を重ねてきている。その検討調査成果は、年毎にレポートにまとめTISTに提出している。その内容は、「実学の重視」「専門技術者技能者の養成」「産業の育成」「教育カリキュラム」などが中心となっている。当然のこととして、その中には、「教育制度」「具体的実現手順」なども含まれている。

こうしたTISTとCROSSによる連携活動の成果が、2010年度以降に具体的な姿として外部からも見えることが期待されている。

「ホームページ」の改編にあたって

現在が「ネット社会」でありながら、CROSSでは「ホームページ」についての取組みが不十分であったといわざるを得ない。この問題については、これまでも各方面から指摘されてきたにも拘わらず、十分な対応を怠ってきた。しかし、CROSSの存在が新たな注目を受けることとなり、抜本的見直しが必要とされるに到ったのである。

そこで、CROSSとしての新たな展開をするため、全体構成を大幅に見直しを行うこととした。具体的には、従来の「CROSS本体」を「法人本部」と「CROSS事業部門」との2本建てとし、新たに「産学連携事業部門」を加えることとした。この部門の事業内容については、2010年4月以降、随時「情報公開」をすることとする。

このほかに、CROSSと連携関係にある「学校法人筑波研究学園(TIST)」と出資先である「株式会社つくば研究開発支援機構(TSORD)」についても記載している。

2008年12月、「公益法人に関する法改正」が施行され、各法人は5年以内に抜本的見直し手続が求められている。CROSSも例外ではなく、現在、その作業に着手している。これに関しては、監督官庁である茨城県教育庁と協議中であるが、手続が完了するのは、2010年後半になると見込まれる。これらの認可を受けるには、CROSSに関連する機関、すなわち、TISTやTSORDなども含めた「広義のCROSS」が審査の対象とされると思われる。その準備として、今回の「ホームページ」の改編にあたっては、それらに関係する「資料」等も広く公開することとした。

今回の「ホームページ」の内容見直しと併せ、そのイメージも一新させるべく関係者一同、編集作業に取組んだつもりでいる。その結果が、今回提供したものである。今後は、管理運営にも配慮し、データ等の更新にも万全を期すこととしたい。関係者各位のご協力ご支援をお願いする次第である。

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2017年6月9日現在のものです。