2010年度 事業計画 (案)
2010年3月11日
1.計画概要
CROSSは、1998年6月改組により発足、産学協同を設立趣旨として「総合科学」を活動の軸とすることとした。それから12年が経過し、CROSSの活動は広く知られるところとなり、最近はその存在は大きく注目されるに至っている。これをバネに科学技術振興事業と産学連携の拡大をめざして活動地点を水戸・東海地区に広げ、量子ビーム関連業務の調査活動を開始する。更に、2008年12月に施行された「公益法人の見直しに関する法律」に基づき、CROSSを「一般財団法人」に改組する方針が、昨年の理事会・評議員会で確認されており、2010年度にその手続きを完了させるよう努める。
(1) 運営方針
これまでの『CROSSつくば』の事業を継続するとともに新規事業の開拓を目指して、研究学園都市つくばを軸に、水戸、東海地区における民間企業、公的研究機関、教育機関、地域社会などと連携協力し、教育研修、研究開発、研究支援、情報交換などを行い、科学の発展並びに文化の向上に寄与していく。
(2) 活動目標
「基本方針」を継承するとともに、これまでのCROSSの活動目標を変えずに進むこととし、改めて、従来の活動目標を再確認することとする。
① 「つくばリソース」 (人材、知財、施設、システム等) の有効活用
② 組織から離れた研究者・技術者に対する「場」の提供
③ 21世紀の「新しいまちづくり」への提言
④ 「新しいつくば文化」形成への貢献
⑤ 産学協同事業への参画
(3) 運営組織の見直し
財団法人総合科学研究機構の活動を、2010年度より、「CROSS事業部門」と「産学連携事業部門」の2つに分けることにする。すなわち、従来の中核的事業を「CROSS事業部門」として位置づけており、これまでの事業に関する基本的事項を整理し、将来に向け継承させる。
[組織図を張り付ける (Word文書の組織図を用いる) ]
2. 運営組織 (2010年度)
本法人の2010年度における運営組織は次の通りとする
3.法人本部
(1) 理事会・評議員会・役員会など
ア.理事会・評議員会
① 2010年度第1回の会議を2010年5月下旬に開催する
② 第2回の会議は新法人へ移行後に開催する (22年11月予定)
③ 状況により臨時の会議を開催する
イ.常任役員会
常任役員会は理事会のもとに設置され、次の役割を担う
① 2ヶ月に1回、業務についての基本事項等について検討する
② 年間業務計画を確認し、具体的な日程表を作成する
この常任役員会については、法人改組後は、「法人本部」「CROSS事業部門」「産学連携事業部門」に共通する事業を審議する場とし、各部門に関する事項については、それぞれに「運営委員会」を別途設置することとする
(2) 法人事務局
ア.事務管理業務
① 2010年度の業務執行にあたっては,前年度と同様にTISTとの連携のもとに行うこととする。
イ.「新法人移行」への対応
2008年12月に出された「公益法人の見直し」について (財) 総合科学研究機構は、これまでの基本理念を基に更なる発展を期して、一般財団法人への移行手続きを開始する。その移行の完了予定は11月末までを目標とする。
ウ.「新規事業の取組み」について
CROSSの事業拡大をおこなうために水戸・東海地区に活動拠点の展開を図る。そこで2010年度は4月より、法人本部とは独立した「企画調査室 (準備室) 」を設け、組織することとする。
エ.図書・資料の整備
① 図書・資料の整理をおこない、会員が閲覧できるようにする
② 2010年度も各方面への協力を求め,寄贈による図書の充実化を図る
オ.渉外活動
① 学校法人筑波研究学園 (TIST)
② 茨城県、つくば市、土浦市などの自治体
③ 独立行政法人研究機関
④ 筑波研究学園都市交流協議会 (筑協)
⑤ サイエンスアカデミー等の団体
⑥ その他の団体
カ.個人情報管理委員会
① CROSSの運営にあたって発生する「個人情報の管理」が適正に行われるよう委員会のもとで管理する。
(3) Webサイト
2010年3月より、従来のホームページを大幅にリニューアルしたものを公開する。
これの作成については、専門業者に「企画」「デザイン」を依頼したが、今後はデータの更新には特に力をいれることとする。
特に、「産学連携事業部門」については現状は極めて不十分であり、随時、整理し、2011年3月までには、完全なものに仕上げることとする。
(4) データベース (会員情報) の管理
① 科学全般にわたるデータベースの構築並びに情報の収集と提供
② 会員からの情報を収集し、データベースとして会員相互の交流に寄与する
4.CROSS事業部門
寄付行為で規定する「事業内容」及びCROSSの誕生時に掲げた「活動目標」をもとに、これまで、次の「5事業」を展開している。これらに関しては、今後は新たに設置される「CROSS事業部門」の活動内容として位置づけることとする。
この部門は正確には2010年度より開設されるものであり、その運営のため改めて「CROSS事業部門運営委員会」を設置する。これは2009年度までは「常任役員会」の中に位置づけられていたもので次の事項を所管する。
① 6月の常任役員会で「各委員会の構成メンバー」を決める
② 「2010年度CROSS研究プロジェクト」の募集状況の確認
③ 常任役員会と各委員会との連携を密にし、業務の相互確認を行う
(1) 機関誌発行
ア.活動目標
① 「CROSSつくば」の発行 (年3回)
② 編集委員会による編集企画
③ 「総合科学」の視点に立つ情報発信
④ 研究者・技術者などによる多彩な寄稿
⑤ 郷土文化・つくば文化の保存と連携
イ.編集委員会
『CROSSつくば』の発行回数に合わせて年6回の開催を行う
ウ.編集方針
『CROSSつくば』の編集方針は前年同様に、次の5つの分野を設けて掲載することとし、投稿原稿の拡大および購読者の増加を図ることにする
① つくばからの発信
② 経済・ビジネス
③ 街づくり
④ 人,ひと,ヒト
⑤ 文化
(2) 研究交流事業
ア.活動目標
① 「文化講演会」等の開催
② CROSS研究プロジェクトの成果発表会の開催
③ つくば情報の交換と異業種間の交流
④ CROSS会員及びCROSS研究員による相互交流
イ.企画委員会
研究交流の活性化を図るために新たな「研究プロジェクト」の発掘に努力する
ウ.予定行事
「研究プロジェクト」の成果発表会を開催する
(3) 研究支援事業
ア.活動目標
① 「文部科学省科学研究費による研究」等への申請支援
② 組織から離れた研究者への「場の提供」
③ 独法研究機関等との連携
④ 「CROSS研究プロジェクト」として認定 (研究支援)
イ.文部省科研費申請資格の取得
CROSSの研究基盤の充実を目指して科研費申請に向けて努力する
(4) 調査受託事業
ア.活動目標
① 研究調査に関する受託事業
②「研究イベント」等の共催及び後援
③ 産学協同事業の展開
④「CROSS研究プロジェクト」として認定 (調査受託)
イ.主な事業
① 新しい高等教育機関に関する調査
② 新たな事業開拓
(5) CROSS研究事業
ア.活動目標
①「CROSS独自の調査研究制度」による研究活動
②「総合研究」の立場からのプロジェクトの発掘
③ CROSS研究員の審査と認定
④「CROSS研究プロジェクト」として認定 (CROSS研究)
イ.「研究プロジェクト」の発掘
ウ.研究プロジェクトの審査
① 企画委員会が発掘した「CROSS研究プロジェクト」の適性を審査する。
② 審査対象は「継続」「新規」であり,委員会は2回~3回程度開催する。
エ.CROSS研究プロジェクトの具体的な活動内容
「CROSS研究プロジェクト」は,当法人の寄付行為第4条に定められた条項に対応する5つのエリアに区分している。
第1エリア〔第4条 (1) 〕
①このエリアは,「産学協同の理念に基づく研究開発及び研究支援」のもとに行なう研究活動である。
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研究プロジェクト名 |
代表者 |
新/継 |
1 |
金属に関する計算機シミュレーション手法による研究 |
鈴木 哲郎 |
継 |
2 |
超伝導性コヒーレント光伝導,軌道反磁性の発見と超伝導理論のMinkowski時空間での考察 |
真隅 泰三 |
継 |
3 |
省エネルギーに関する調査研究 |
泉屋 亨 |
継 |
4 |
つくばスタイルの事業化に関する研究 |
秋田 雅之 |
継 |
5 |
飛行船に関わる関連事業について |
草谷 大郎 |
継 |
6 |
霞ヶ浦周辺旧海軍施設の消滅略史 |
屋口 正一 |
継 |
第2エリア〔第4条 (2) 〕
① このエリアは,「基礎及び先端分野の教育及び社会人向け研修」のもとに行なう調査研究である。
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研究プロジェクト名 |
代表者名 |
新/継 |
7 |
「つくば技術坊」「つくば技能塾」の設立に関する調査研究 |
斉藤 鉄哉 |
継 |
8 |
つくばアーカイブズ研究会 |
高橋 嘉右 |
継 |
第3エリア〔第4条 (3) 〕
①このエリアは,「真空科学に関する調査研究及びそれに関する事業」に基づく調査研究である。
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研究プロジェクト名 |
代表者 |
新/継 |
9 |
真空科学に関する調査研究 |
横山 桂 |
継 |
第4エリア〔第4条 (4) 〕
①このエリアは,「高等教育及び科学技術の振興に関する調査研究と活動助成」に基づく調査研究である。
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研究プロジェクト名 |
代表者 |
新/継 |
10 |
つくばにおける「新しい大学システム」に関する調査研究 |
村上 和雄 |
継 |
第5エリア〔第5条 (5) 〕
①このエリアは,「科学全般にわたるデータベースの構築並びに情報の収集と提供」等である。
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研究プロジェクト名 |
代表者 |
新/継 |
11 |
昭和初期における茨城県霞ヶ浦浮島村の養蚕の調査研究 |
木村 滋 |
継 |
5.「産学連携事業部門」開設の背景
(1) 産学協同の理念
CROSSが設立されたのは、1988年 (1988年) 11月で、その前年の4月にTISTが誕生している。
このCROSSとTISTは、共に産学協同を設立趣旨として唱え、産業界からの支援のもとに運営してきている。設立当初は、産学協同という考えは、一般的ではなかったが、最近では、「研究開発」「事業企画」「人材育成」など、様々な分野で、“大きな流れ”となりつつある。こうした動きは、「閉ざされた社会」から「開かれた社会」への方向転換であり、「異なる分野の相互交流」ともいえる。その意味では、これまでCROSSとTISTが行ってきた「産学協同」は「産学連携」と読み替える事が出来るのかもしれない。
CROSSが真空科学研究所から発展的改組により誕生したのが1998年6月のことである。その時点で、「真空科学」から「総合科学」への軸足を移すこととした。この「総合科学」と「産学連携」とは、共通した面を持っており、このことを改めて再確認することが大切である。
(2) 「産学連携事業部門」の開設準備
ア.「企画調査室 (準備室) 」の設置
CROSSの事業拡大を計るために水戸・東海地区に活動拠点の展開を図る。そこで2010年度は4月より、法人本部とは独立した「企画調査室 (準備室) 」を設け、組織することとする。
事務所を茨城県東海村白方 「いばらき量子ビーム研究センター」内に置く。
イ.賃貸契約
① 2010年4月1日 事務室1室
ウ.要員の確保
① 2010年4月から 室長1、事務職員1、パート1~2名
エ.主な業務内容
① J-PARCの特定中性子線施設の共用促進法における登録施設利用促進機関への申請にむけて次の作業をおこなう。
・登録機関申請準備 (CROSS)
・事業計画書、インフラ整備、組織・人員体制の整備、課題選定委員会の整備、事務規程
・文科省登録機関の公募22年10月1日~
・登録機関選定通知23年3月
・申請準備のための費用 (概算予算:3,000万円)
(人件費、事務所賃料、什器、コピー器、IT関連、調査費等)
② 量子ビーム関連業務の調査活動と研究支援
・技術開発、産業利用、人材育成、国際交流、研究支援