本機構主催の市民公開講座「CROSS 2018」は18日、筑波銀行つくば本部ビル(つくば市竹園1丁目)大会議室で開きました。
J-PARCセンターが共催、茨城県、つくば市、公益財団法人つくば科学万博記念財団、筑波銀行が後援しての開催。約150人が詰めかけて聴講、質問をし、これまでにない盛り上がりとなりました。
今回の開催タイトルは「太陽系と地球誕生の謎に迫る」。三河内岳氏(東京大学総合研究博物館教授)の「地球外物質から探る太陽系の誕生と天体進化」、岡田誠氏(茨城大学理学部地球環境科学領域教授)の「チバニアンと地質時代」の2講演が行われました。
三河内氏は惑星物理学者という立場で、隕石の研究を通じて太陽系「進化」の謎解きをしています。主に小惑星帯から地球に飛来する隕石には始源型(微惑星時代のもの)と分化型(原始惑星時代のもの)の2種類に区分できるそうで、前者が9割を占めます。太陽系誕生の痕跡を残す「化石」のような存在で、その組成を調べると最も初期のものは「45億6700万年前」に形成されています。太陽系誕生の時期は諸説ありますが、隕石からは「4567」という並びで覚えやすい年代になるそうです。これは探査機「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの表面物質からも裏付けられています。
岡田氏が扱うのは「地層」、地球の時間軸を移動する学問です。現在地球上に確認されている地質境界の数は114。これを国際的に承認するのがGSSP(国際標準模式層断面)で、114境界中71カ所に名があります。新生代前期―中期更新世のカラブリアン(180万年前~)の上層の時代境界である約78万年前のポイントには名前がなく、ここに名乗りを上げたのが、千葉県市原市の養老川沿いにある地層「千葉セクション」中の境界です。前期―中期更新世における地磁気の反転を記録する磁場逆転境界が特定できたことから、「チバニアン」と名付け、2017年にGSSPの作業部会に申請書を提出しました。「チバニアン」が認められれば日本で初のGSSP となります。
2講演に対し、会場からは「どんな点に注意して歩いたら足元の隕石が見つけられるか」、「地磁気の逆転では生態的な影響も地質に残されているのか」など熱心な質問が相次ぎました。